指板上の音名を覚えるために【ジャズギター練習】

ジャズギター練習

ジャズギターの方法論は様々で、譜面が読めなかった巨匠ミュージシャンもいるくらいだが、それでも自分が今何の音を弾いているかを把握していないと話にならない。

しかし生憎、ギターというのはピアノのような鍵盤楽器と違って視覚的に音名(つまり、ドレミ)がわかりにくい楽器である。

白鍵・黒鍵のようなわかりやすい目印がないし、しかも弦が6本ある関係上、同じ高さの音が出るポジションが複数ある。さらに、一般的にギターの各弦の間は基本的に4度のインターバルでチューニングされているが、2弦と3弦の間だけは3度になっていて視覚的に度数を把握する妨げになっている(無理なくコードを押さえるためにはよいアイディアなのだが……)。

そしてそのわかりにくさから、多くのアマチュアギター弾きはTAB譜を使用してポジションのみを意識してプレイしている。ジャズギターの参入障壁の高さはこれに起因しているところが大きいと思う。もちろん私もそうだった。

しかしジャズギターをやろうと思ったら、フレットボードを見てどこが何の音なのかすぐにわかるようにならなければならないのは確かだと思う。そのための練習を初心者なりに考えたので書いてみたいと思う。

宇田大志先生方式「テンポに合わせて同じ音を弾く」

以前も紹介したジャズギター入門書……というか初心者向けの練習ガイド「3年後、確実にジャズ・ギターが弾ける練習法」にも、具体的な練習法の一番最初にこの指板上の音を覚える練習が載っている。

ざっくり言うと、音名を書いたカードとメトロノームを用意し、メトロノームを鳴らしながらカードをめくって出た音名を全ての弦で弾いていく、というものだ。カードというか、上の写真のような適当な紙切れでいい。

カードをめくって「C」と書いてあったら、例えば6弦から順に8フレット、3フレット、10フレット、5フレット、1フレット、3フレット、と押さえながら各弦で「C」の音を弾いていく。

やってみると最初は難しいが次第に慣れてくる。

……慣れてくる、のだが、この練習法は向き・不向きがあると思う。
指定された音を弾きながら、その指板上のポジションとその音名を強く意識しつつ、記憶していかなければならないからだ。つまり行為とその意味の関連性をしっかり腹の底に落としながら練習しなければならない。しかし行為があまりにメカニカルなので、人によっては意味と結びつけるのに大変な集中力を要するのではないかと思う。

というとピンとこないかもしれないが、タイピング練習ソフトで猛練習してもブラインドタッチがあまりうまくならない、と言う現象は有名だと思う。ソフトが出題する課題をタイプすることばかり上達して、それが実際のタイピングに反映されていかないのだ。これと同じことが、上記のギターの指板上の音名探しでも発生してしまう。

この他、カードをランダムに並べ、それを順番に弾いていくというのも提唱されていた。詳細がかかれていないのだが、一本の弦の上で、あるいは同じポジション(例えば人差し指を5フレットに置いた状態で弾ける音名を探す)の中で音名をすぐに見つける訓練だと思う。私にはこちらのほうが向いていると思った(と言うか、どちらもできたほうが良いのだろうが)。

繰り返していると、同一弦上で音名を見つけるのがだいぶ早くなってきた実感がある。あとはポジションごとの訓練をしていけば、指板全体が見えるようになってくるのかもしれない。ただ、やはりこれも場所当てクイズみたいなところがあって演奏に直結するか不安だ。

それで私は、上の方法はトレーニングとして続けながら、別の方法も並行して行うことにした。

丸暗記したほうが早くね?

……と思い、自分用にエクセルで資料を作った。

音名だけじゃなく度数も大事だというので下にはその早見表もつけてある。これをすべて記憶できれば、いよいよジャズギター習得に向けた理論やフィジカルな練習に取りかかれるというわけだ。

これを空き時間にじっと見つめるようにしたが……結果、無理だった。
こんなものを眺めていても一気に覚えられるものではない。
そりゃそうだ。

ブルースでよく使うコードのルートを覚えてしまう

なかなか音名の場所を覚えられないと書いたが、私はBb、Eb、Fの位置は比較的早くに覚えた。なぜかというと、気晴らしにキーBbのブルース進行のバッキングを弾いて遊んでいるうちに覚えたのだ。気がついたら覚えていたという感じだ。

つまり、曲で使った音はわりとすぐに覚えられたというわけだ。

それで、「じゃあいろいろなキーのブルース進行をまずは練習してみてはどうだろうか?」と思いついた。

ジャズでよくやるF、Eb、Bb、あとC、Aのブルースのコード進行を、各弦ルートのコードで練習していけば、指板のかなりの部分を埋められるのではないか? と。それはそれで大変なのだが、確度は高そうなので進めていこうと思っている。

「黒本」を写しながら曲に使う音名を覚えていく

上記の方法をとってもまだ埋まらない音名もある。
それに、曲で使えばいいのだから別にブルースである必要はない、と気づいて、日本のジャズセッション界隈でメジャーなスタンダード曲集だという「黒本」(ジャズ・スタンダード・バイブル ~セッションに役立つ不朽の227曲)を五線譜に写しながら、自分の好きな曲を覚えることにした。

私は楽譜もろくに読めないので、黒本を写しながら音符の一つ一つに音名を(アルファベットで)つけていき、その音名の場所を指板上で探して弾けるようにしていく。

  • 読譜の練習になり
  • 曲も覚えられ
  • 曲のキーのダイアトニックスケール/コードにもぼんやりと触れることができ
  • おまけに指板上の音名も覚えられる

という、一石四鳥を目指した練習である。
少なくとも超初心者の今は、これが効果を発揮しそうな気がしている。

しかも!
これを進めるにあたって、無駄になるかと思っていた上の項目で作ったエクセルの資料が非常に役立ってくれて充実感がある(笑)。

で、これだとどうしても音名探しが机上の作業になってしまうので、やはり宇田先生方式のメトロノームとカードも練習として並行して行うといいと思う。

とりあえず大好きな「Nica’s Dream」を写経して、Bbmスケールの構成音を覚えていこうと思っている今日この頃である。

それにしてもジャズは覚えることが多くて気が遠くなりそうだ。一生の趣味としては飽きがこなくていいのかもしれない。

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