今年のはじめに「再開する」と当ブログでも宣言したジャズギターの練習。
正直なところ、全然進んでいない……。
このブログに書き込むのも「進んでない」「時間がない」「厳しい」みたいな言い訳と懺悔ばかりで、私の意志の弱さがうかがわれる。
それに加え、最近はイラスト制作という趣味に目覚め、そっちに時間を食われているというのもある。イラストの方は絵柄や題材がオタクっぽいので恥ずかしくてここでは発表できないと……いや、どうだろう。技術的なこととか機材のこととか、備忘録的に書きたいことはあるので、どこかでそっちの話も書くかも。
いや、今はその話はいいか。閑話休題。
で、ジャズギター。
時間がないなりに基礎練習をしつつ、初心者にありがちなパターンそのままにいろいろな教則本に手を出したりしながら、ずっと足踏みを続けているというのが今年一年の状態。
……なのだが、実は最近ちょっと、アドリブというモノの尻尾がつかめそうな気がしている。
あっちこっちの教則本やらYoutubeの動画やら、いろいろな人の考えに触れたのも功を奏したのかなと思うが、「アドリブって、こうやってやるんじゃないか?」というのがぼんやりと見えてきた。
ものすごく単純化して言うと、
- 曲のコード進行・テーマを頭に入れる
- コード進行に合わせてコードトーンやテンションで流れをつくる(主に各小節の1,3拍目に置く)
- その音へのアプローチや修飾を加え、ラインが完成する
これだけなのではないか?
と、今は思えていて、モチベーションになっている。
ま、これを即興でやったり、狙った雰囲気を出そうと思うと、いろいろな方法論があると思うが、初心者としては多少システマティックにでも、ゆっくりでも、上記のことができるようになるのがアドリブでソロをとる近道なのではないかと思う。
ここから逆算して、どんな練習をすればいいかを考える。
曲のコード進行・テーマを頭に入れる
これは前々から思っていたことだが、私には「曲を演奏する」という意識が希薄だ。
私はギター人生において他のジャンルの経験がなく、ギターを買ってすぐに「ジャズギター=アドリブ」という認識から練習を開始しているので、しっかり練習して曲を仕上げるというイメージが湧かない。
湧かないが、湧かなければいけないと思う。
少なくとも単調なバッキングをしっかりとつっかえずに弾けて、それに合わせてテーマを迷いなく、しかも要所では弾いている音の度数を意識しながら弾きこなせるようになって初めて、「さあ、アドリブをやってみよう」というスタートラインにつけるのだと思う。
私は今までその練習をあまりしてこなかったので、今後は「曲を仕上げる」というつもりで練習していきたいと思う。まあ、前にも同じようなことを書いていて、あんまりやっていないから、どれだけ捗るかわからないが。
コード進行に合わせてコードトーンやテンションで流れをつくる→その音へのアプローチや修飾を加え、ラインが完成する
この発想の元ネタは有名なジャズ学習サイト「ジャズギタースタイルマスター」の作者、名取穣一郎氏の教則本「ジャズ・リックを自在に操る7つのアプローチ・メソッド」で、その中で言う所の「ターゲットノート」というやつである。
誰にでも当てはまる話ではないと思うが、私はこの本を読んで(譜例と解説がほとんどなので実はまだ序盤までしか進んでないのだが)、とにかく天啓を受けたように目の前が明るくなった。それこそ暗くて見えなかった足元を照らされたような感じだ。それについては、興奮してアマゾンにクソ長いレビューを書いたのでそれを転載する(読み飛ばしてくれてもいい)。
とかくギターというのは、多くの人がロックやポップスのコピーという形で入門する楽器です。
で、なんやかんやしているうちにジャズ・ギターという秘境にたどり着く。
一般的にはそういうものなのでしょう。
ほとんどのギター講師や多数ある教則本の著者も、その例に漏れません。
それゆえ、ジャズギター教材というのは
「他のジャンルでそれなりに弾いてきた人」をターゲットに作られるのが常です。
そういう人たちはロックのギターソロや、ブルースのセッション、
あるいはバンドのオリジナル曲のリフ作りなどに時間も労力も費やしてきたため、
「アドリブソロを弾く」というのがどういう体験なのかある程度感覚でわかります。
少なくとも「キーに合ったマイナーペンタでそれなりに弾きまくる」くらいはできる。
でもそれだけでは「ジャズ」の演奏にならない。
それに対して「もっとこういう知識をつけて自分のソロをジャズらしく変えよう」というのが
いわゆる「ジャズギターの教則本」の基本的な姿勢だと思います。
しかしジャズギター学習者の中には私のように、
ジャズギターがやりたくてギターを始めた、そもそもジャズ以外のアドリブ、
というか他のジャンルのギタープレイというものを良く知らないし練習しても来なかった…
という層が結構いるはずです。
そんな私達は希望に胸を躍らせて数々の教本に手を出しては、
基礎的なジャズ理論とコード進行だけを手にして
「さあ、アドリブソロを弾いてみよう」と突き放され、立ち尽くすしかありませんでした。
そもそも想像したこともないような他のジャンルでの経験を
「もちろん通ってきた道だよね」と前提条件にして書かれているのが教則本なのですから、
当然といえば当然です。
(ここまで前置きです)
で、本題ですがこの本は、ジャズのアドリブというのが一体「何なのか」、
その正体を如実に暴き出してくれます。
「このスケールが使えるよ」「コードトーンにテンションを交えて…」
なんて言われてもどこをどう弾いていいかわからなかった私ですが、
この本を読み出して一気に霧が晴れました。
この内容を理解すれば少なくとも、じっくり時間を掛ければオリジナルのソロ(書き譜)を
書くことができるようになると思います。
あとはそれに慣れ、一部は手癖化したりつつ、リック作りをスピードアップしていくと、
それがつまり「アドリブソロを弾く」という行為に行き着くんだと思います。
少なくとも、他ジャンルの経験がない私にとっては
そういう筋道が見えたこと自体が大きな収穫でした。
私のように裏通りからジャズギター界に横入りしようとしている諸兄は、
この一冊を手にとって損はしないこと請け合いです。
要するに、たいていの教則本には「あなたのソロをどうやってジャズらしくするか」ということが書かれている。どうしてかというと、ほとんどのジャズギター学習者は他のジャンル(ロックとか)での演奏経験があり、しかも多くはそれなりに「曲を仕上げる」「完コピする」という経験を積んでいたり、「ペンタ一発」とかでならペロペロと「簡単なアドリブソロ」が弾けたりする。そういう人たちに向けて書かれていからだ。
でも私のようなジャズから入った人間はそれがないので「簡単なアドリブソロ」が弾けない。ソロを弾くということが感覚で腑に落ちていないから、「適当になら弾けますよね? でもそれじゃあジャズにならないから、もっと……」なんて言われてしまうと「いやいや待ってくれ、適当になんて弾けないよ、何をどうやってるの?」となってしまう。
それを、上記の本ではアドリブフレーズの成り立ちをはっきりと示してくれている。「あ、じゃあこれが作れるようになればいいんだ〜。最初は時間がかかるだろうけど、徐々に慣れて即興でできるようになればいいんだな! 丸暗記で塊ごと手癖にするものも結構あるだろうし、なんだかジャズのアドリブができるようになりそうだ!」と、非常に爽快な気分になれた。
ガチ初心者にとってここまで明確な教則本は、他になかったと思う。教則本の著者は皆総じて経験豊富だから、それが逆にアダとなっているのかもしれない。
練習しようと思っていること
それで、上記のことを踏まえると、現段階で練習すべきことが絞られてくる。
曲のレパートリーを増やす
これは闇雲にってわけじゃなく、いわゆるスタンダード中のスタンダート、「枯葉」とか「オールザシングス」とか、そういうのを一通り弾けるようにする。あとは自分の好きな曲をいくつか加えてもいいかな? これを手だけでなく、頭でも言語化して覚える。
……ちなみにこれは、コードバッキングとテーマの話。アドリブ練習の土台として、最低限の準備かなと。
指板上の任意の位置の音名を即座にわかるようにする
これは基本中の基本で、今年の序盤にも取り組んでいたが、正直退屈なのと「うーん、本当にそこまでやらなきゃいけないのか?」という迷いがあり、いつしかフェードアウトしてしまっていた(いつものやつ……)。
しかし、目標が出来てみるとこれができないのは大変不便だ。各コードやそのコードトーンを選んで弾くのにいちいち時間をかけていては成り立たないから、ぜひともおぼえなくてはいけない。これは例の宇田方式で毎日コツコツやっていこうと思う。
コードトーンの把握
指板上の音名がわかるようになったら、今度はそこを起点にコードトーンを自由に弾けるようにしたい。
各コードというか、ルートからの各度数のポジションを力技で暗記していく、というのも一つの方法だと思うのだが、今の自分にそれが可能だとは思えず、これは宇田方式(オクターブ上の3度を目安に、度数を意識し名がらとにかく弾いて覚える)をやり抜ける気がしないので、教材を探した。
トライアドの習得
それで行き着いたのが、トモ藤田氏の「3音でギターを制覇するトライアド・アプローチ 独学ギタリストのためのロジカル・プラクティス」。各ルートに紐づくトライアド(ルート、3度、5度)を、転回形を含め優しいところからスパルタ目に覚え込んでいくという内容だ。コードトーンも基本はトライアドだし、まずはここから攻めてみるか! と考えている。
アッパーストラクチャートライアドとかCAGEDシステムとか、最近はトライアドをベースにした教材とか考え方がトレンドのようにも見えるしね。コンテンポラリー系の考え方なのかな?
私はまだ勉強不足でなんとも言えないのだが、予感としては、小難しい音楽理論をプレイヤーサイドから置き換えられるのがトライアド中心の考え方なのかな〜?という気もしている。まあこれは、副産物的にそういうのがあったらいいな、というくらいに止めておけばよい。
リック(フレーズ)を作る練習をしてみる
これは基本的に「ジャズ・リックを自在に操る7つのアプローチ・メソッド」に添いつつ、「即興」「アドリブ」ということは頭から追い出して、とにかくギターででも譜面ででもどんどん作っていく。その過程で
・ターゲットノートの組み立て方に慣れる
・アプローチの方法を覚えてレパートリーを増やしていく
あたりのことが身についてくれれば、といったところ。
フレーズ集を分析してみる
リックを作ると言っても、そもそもネタがないし、模範解答がないと遠回りになる。
ということで、これまで集めてきたリック集、フレーズ集をターゲットノートとそこに対するアプローチという観点から分析する……ということも、並行してちょこちょこやれれば理想的だと思う。
アドリブソロを実践してみる
上記のことを生かして、実際にアドリブをとってみる。とってみる、というか、これが「脱初心者」フェーズの最終目的みたいなものだから、簡単な話ではないと思うが、「準備が整ってから」と思ってるとなかなかできるようにならないと思うので、下手くそでも徐々に挑戦していきたい。
とりあえずこれだけ集中してやる
上記のうちトライアドの習得までは基礎編、後半3つは実践編という感じ。並行してやれるのもあるしやれないのもある。しかしこの「基礎編」をこなして、あとは場数を踏めばもう「ジャズが弾ける」ようになるという気がしている。
そこからまたクオリティを高めるための長い旅路があるんだろうけど、趣味でやるならそれは楽しい旅程になりそうじゃないですか? そこに行き着くまでの苦行、来年こそは……と言わず、今から逃げずにやっていきたい。
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